加害者側の任意保険会社の提示する示談金額は非常に低額なわけですが、被害者がこれを増額させるにはどのようにすればよいのでしょうか。
保険会社の担当者に「インターネットでは○○と書いてあった。」「裁判基準では・・・」などと言ってみても、おそらく軽くあしらわれて増額は期待できないでしょう。
この点、弁護士に処理を委任すれば任意保険会社は示談金額を増額してきます。(ところで、よくインターネット上で「交渉に強い」などと謳ってあたかも弁護士の交渉力で示談金が増額しているかのような弁護士のサイトを見かけます。交渉一般にスキルが必要なのはそのとおりなのですが、この場合の示談金額の増額には弁護士の交渉力はあまり関係がありません。保険会社は基本的に「弁護士だから」示談金額を増額してくるのです。これまでに事務員任せのルーティン処理でサラ金への過払金返還請求を業務としてきた法律事務所がこの分野に参入し始めたのはこういった事情があります。)
もちろん、弁護士に依頼すると弁護士費用がかかりますから、弁護士費用との兼ね合いで費用対効果を考える必要はあります。ただ、通常の案件では、弁護士は依頼者が弁護士に依頼して赤字にならないような配慮することが多いかと思います。
また、自分の加入している保険に弁護士費用補償特約が付されている場合には自分が負担すべき弁護士費用の負担を抑えることができます。
もっとも、弁護士に依頼することと、どのような手続によって賠償金を獲得するかは全く別の問題です。
示談交渉による解決が当然の前提となっているかのような弁護士のサイトがありますが、これは訴訟より示談交渉のほうが手間を省力化できるという弁護士側の事情によるところが多いものと思われ、適切とは言えません。
賠償金の問題を解決するには、①交渉、②訴訟、③ADRといった方法があり、少しでも被害者にとって有利になるように、個別具体的事案に照らしてどういった方法を選択するか検討することが適切であると言えます。