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被害に遭ったときの留意点

交通事故に遭ったときに何をすべきか

 交通事故被害に遭ったとき、被害者とその家族の悩み、心配ごとは多岐にわたります。「これからの生活はどうしよう?」「治療費はどうなるのか」「賠償金はどうなるの?」「加害者の処罰は?」など様々な方面での心配ごとが発生します。

 

 ここでは主に適切な賠償金獲得の観点から、交通事故発生、②入院・通院、③治癒・症状固定、④後遺障害等級認定、⑤任意保険会社からの示談案の提示の各時点において、留意しておくことを順に述べたいと思います。
 なお、弁護士が賠償金獲得に向けて具体的に活動するのは③より後の段階になりますが、①から③までの間であっても正当な賠償金の獲得に向けて専門家が助言できることはあります。
 当事務所は①から⑤のいずれの段階での相談も受付けております。

交通事故発生時

gf1120194204x 交通事故被害にあったら、速やかに警察に申告して下さい。
 場合によっては「警察に申告せず示談しましょう。」「保険が下りないから運転者は別人だったことにして欲しい。」といった申出が加害者からあるかもしれませんが、絶対にこれに応じてはいけません。
 警察への申告は法律上の義務ですし、これを怠ると後々の損害賠償請求に支障が生じることがあります。後者の申出に応じると詐欺罪の共犯として処罰される可能性があります。

 

実況見分の際に気をつけること

 人身事故の場合には事故の当事者を伴い警察官によって実況見分が行われ、実況見分調書が作成されます。この実況見分調書は後々民事訴訟となったときには有力な証拠として取り扱われることになるのですが、なかにはこの実況見分調書が正確に作成されているのか疑わしいケースもあります。
 被害者が実況見分に立ち会うことが可能な場合には、事故発生時のことを正確に警察官に伝えることを心がけ、少なくとも自分の勘違いで事実と異なった調書が作成されることがないように注意する必要があります。

 

客観的証拠の確保

 事故状況に関する当事者の言い分が異なることは、その程度差はあるものの、決して少ないわけではありません。
 特に、死亡事故や被害者が重度の障害を負うなどして、被害者が事故時の話ができない場合において、加害者が一方的に自己に有利なように事故状況を述べているのではないかと思われるケースは深刻です。
 こういった場合、事故状況を正確に再現するために客観的証拠が有力な資料となります。場合によっては、事故現場や事故車両などの写真撮影ができるとよいのですが、これらを証拠となり得るように撮影することは素人では困難なことが多いので、専門家に相談したほうがよいでしょう。

入院・通院時

頭部外傷 入院・通院費用は、加害者側の任意保険会社が直接病院に対して支払うのが原則です。もっとも、こういった取り扱いを許容しない病院が一部あります。その場合は、被害者側がいったん病院に支払い、加害者側任意保険会社に請求することになります。
 また、被害者側の過失が大きいと見込まれる場合など任意保険会社が病院への直接払いを行わないことがあります。その場合、被害者が人身傷害保険に加入していれば、その保険会社に病院への直接払いを対応してもらいます。

 

医師への申告

 医師へ症状を申告するときは、痛み、症状、部位などをすべて正確に申告して、カルテに記載してもらうようにして下さい。
 事故から相当期間経過した後にはじめて症状を申告したりすると、後々の裁判などで交通事故との因果関係を争われることがあります。

 

証拠書類の保管

 治療のために使った費用(例:診察代、通院のためのタクシー代)に関する領収書等はすべてきちんと保管しておいて下さい。任意保険会社の求めに応じて提出するときには、コピーを取得しておくほうが好ましいです。

 

健康保険は使うべきか

 交通事故による受傷でも健康保険は使用可能です。
 保険会社から健康保険を使用するよう要請があるとこれに反発する被害者の方もいますが、被害者側に過失割合が見込まれる場合などにおいて、健康保険を使用しないと被害者が最終的に得られる賠償金の金額が健康保険を使用する場合に比べて少額となる可能性があります。
 ことさらに健康保険の使用を忌避する必要はないでしょう。

治癒・症状固定時

 症状固定とは治療を続けてもそれ以上大きな症状の改善が見込めない状態をいいます。しばしば誤解がありますが、症状固定というのは医学用語ではなく、損害賠償、保険上の概念です。
 症状固定までの治療費は損害として認められますが、症状固定後の治療費は損害として認められないのが原則です。(例外はあります。)
 症状固定と治療費支払いの打ち切りを巡って任意保険会社と被害者との間で争いになることがありますが、そういった場合、被害者の考えとは異なり、症状固定までの期間が長ければ長いほどよいと単純に言えるわけでは必ずしもありません。

 治療費支払いの打ち切りと症状固定の時期に疑義がある場合は一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

後遺障害等級認定時

gf1950383034x 症状固定後に一定の症状が残存する場合、自賠責保険ではその軽重に合わせて、1級から14級の後遺障害等級に分類されます。残存する症状が軽微で所定の条件を満たさないものは「非該当」として取り扱われます。
 後遺障害等級の判断基準は労災の場合のものが準用されていますが、労災とは異なり、もっぱら診断書、画像等の書類審査で等級が認定されます。(醜状障害を除きます。)
 後遺障害等級認定は自賠責保険会社が窓口になりますが、実際には「損害保険料率算出機構」という団体が判断します。
 後遺障害等級の違いによって慰謝料、逸失利益等といった被害者の損害額に差が生じるのが基本であるため、後遺障害等級が何級になるのかは被害者の重大な関心事となります。

 

後遺障害等級認定の手続

 後遺障害等級認定の手続には任意保険会社が行う「事前認定」と被害者側が自賠責保険金請求の形で行う「被害者請求」があります。後遺障害等級認定が原則書面審理であることから、両手続きには以下のようなメリット、デメリットがあります。

●事前認定
【メリット】
 手続きを任意保険会社に任せられるので楽である。

【デメリット】
 等級認定が原則書面審理であることから、診断書の記載が不十分、必要な検査がなされていないなどの場合に、被害者側のチェックが働かないまま不当な等級になるおそれがある。

●被害者請求
【メリット】
 被害者側において診断書の記載不備、検査の未施行などを主体的に確認でき、事前認定でのデメリットを回避できる。

【デメリット】
 手続きが煩わしい。

 

後遺障害等級認定と専門家への依頼

 近時、後遺障害等級認定を行うとする行政書士やNPO法人のサイトをよく目にすることがありますが、これはその方法や費用の取り決めかたによっては弁護士法72条(非弁行為の禁止)に違反する違法な行為となります。
 その点を措くとしても、後遺障害等級認定はあくまで損害賠償請求のための手段であって、それ自体が目的ではないことに留意しておく必要があります。
 つまり、後遺障害等級認定手続きは当該手続きが終了したらそれで完結するのではなく、その後、損害賠償請求を行うことになります。その場合に被害者が自分で示談交渉をしても低額な任意保険会社の基準しか提示されませんから、適切な賠償金取得のためには弁護士を探して弁護士介入とする必要があります。
 そうであれば、いっそのこと最初から弁護士にすべてをワンストップで委ねたほうが合理的です。
 行政書士等のサイトのなかには「提携の弁護士を紹介する」等としているものがありますが、コストの面から見ても、行政書士等と弁護士とを二重に介入させ、二重に費用が発生するのは無駄でしょう。

その被害者請求を委任することは本当に必要か?

af9940076812x 後遺障害等級認定のために被害者請求を請け負うとする行政書士等のサイトのなかには、いささか過度にその効果を喧伝していると思われるものがあります。
 書面審理という後遺障害等級認定手続きの特質から、漫然と手続きの流れに身を任せた場合に、実態に即しない不当な等級になる可能性があるのは確かで、それを防ぐ必要があることはそのとおりです。そして、多数の弁護士には未だその点の認識が希薄であることもまた真実だと思います。
 しかし、後遺障害等級認定のために、常に被害者請求をして追加の検査等を実施する必要性があるわけではありません。
 行政書士等のサイトには「1級から14級まで実績あり」などと表記するものもあります。しかし、それらは本当にすべて被害者に金銭を負担させ(過大な報酬を請求するものもあるようです。)行政書士等が手続きを行う必要があったものなのでしょうか?
 例えば、頭部外傷後、遷延性意識障害になってしまい寝たきりのケースであれば、別表第一第1級1号が認定されます。これは素人が手続きをしようとプロが手続きをしようと変わることはありません。もちろん事前認定でも変わりません。より軽い障害の場合でも、例えば、上腕骨骨頭骨折の後、肩関節可動域制限が健側に比して4分の3以下程度であることが明らかで、障害がそれに尽きるようなケースでは、別表第二第12級6号が認定されます。
 こういったケースで追加の検査は不要です。病院同行も必要ありません。お金をかけて行政書士等に被害者請求を委ねてもお金の無駄です。
 後遺障害等級認定に明るい弁護士であれば、このあたりのことも客観的な視点から助言できるのではないかと思います。

任意保険会社からの示談案の提示時

 任意保険会社から賠償金とその明細が書面で示されます。任意保険会社からは示談書の署名を促されますが、一度示談書にサインしてしまうと後からこれを覆すのは困難なことが多いので、示談書にサインするかどうかは専門家に相談した上で慎重に判断したほうがよいでしょう。
 任意保険会社(共済)の担当者によっては、賠償金の増額を見込める事案にもかかわらず「弁護士に頼んでも変わりませんよ。」等とあからさまな嘘をつく問題あるケースもあるようですので、保険会社の担当者の言動を気にすることなく一度弁護士に相談してみましょう。


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